BAUNATでは、ハンドクラフトの高級ジュエリーに用いられるダイヤモンドに、一切の妥協を許しません。 メゾンでは、真の宝石と合成ダイヤモンドを合わせるという最近のトレンドと一線を画し、倫理的な最高品質の天然石のみを使用しています。

ビジネスの観点からみれば、最善の戦略ではないという見方もあります。 天然ダイヤモンドを模したより安価な代替品を用いれば、マージン率は向上します。 たとえこの戦略に追随したくなるブランドがあるとしても、私たちはこのような理論に与しません。 自社のカスタマー、取扱い製品、ひいてはビジネスを尊重しているからこそ、私たちは天然ダイヤモンドのみを扱うという理念に徹しています。 この点について、ご説明させてください。

価値について

まず、価値という観点があります。ここでいう価値とは、経済的なものとエモーショナルなものを意味します。 とりわけダイヤモンドにおいて、このふたつの価値が密接に関連し合っています。 BAUNATは、人生における大切な瞬間にふさわしい卓越のジュエリーをクリエイトしています。 かけがえのない大切な瞬間は、相応の価値を体現したレアで希少な品で祝されるべきでしょう。このような時を超える永遠のギフトとして、天然ダイヤモンドにまさるものはありません。

ダイヤモンドは、「永遠の愛」の普遍的なシンボルとされています。さらに、ダイヤモンドには永続的な価値が内包されています。 2020年の調査によれば、米国女性の80%以上が、ダイヤモンドは所有価値のある資産であり、その価値は変わらず維持されるものであると考えています。このような見解は、合成ダイヤモンドには当てはまりません。 技術の進歩とともに、合成ダイヤモンドの製造コストが低下したことで、その価格が下がっていることは、たしかにひとつの事実です。

合成ダイヤモンドの卸売価格の急激な低下

例:4年前(2017年)の1カラットの VSクラス、F-Hカラーのラウンドポリッシュド合成ダイヤモンドの卸売価格は、同クラスの天然石よりも17%低くなっていました。 そのわずか1年後にこの率が30%となり、現在は約65%に達しています。アナリストの一部では、同サイズ、同色、同透明度である場合、合成ダイヤモンドの卸売価格が、最大84%減に達すると見られています。


合成ダイヤモンド価格の急激な低下は、製造プロセスへの巨額の投資を受けて加速し続けています。中国やインドの工場では、かつてないペースで無尽蔵の供給が実現され、過去10年間において、その製造コストは10分の1までダウンしました。 合成ダイヤモンドにおける価格低下は、予算重視の消費者にとっては願ってもない朗報でしょう。数年前により高い額で購入した消費者にとっては、遺憾な知らせかもしれません。 また、合成ダイヤモンドに持続的な価値を期待する消費者がいるとすれば、警笛が鳴らされなければならないでしょう。

これまで以上に希少な資源となった天然ダイヤモンド

天然ダイヤモンドの供給状態は、合成ダイヤモンドに真っ向から対立するため、上掲の状況はまったく見られません。 ダイヤモンド製造におけるピークは、すでに過去のものとなっています。 過去10年間において、主要なダイヤモンド鉱山の開発は進められていません。いまだ莫大な経済的価値を有した鉱脈が眠っている可能性もほぼ皆無です。 ダイヤモンドの価値は、その希少性に依存しているため、大きくハイクオリティのダイヤモンドであればレアとされ、価格が上昇します。 また、長く予想されていた需給/供給図式が、遠からず現実のものになるでしょう。これによれば、BAUNATが取り扱うハイクオリティの天然ダイヤモンド市場は、新規の安価な代替品にさいなまれないでしょう。 むしろ、その逆の動きが予想されています。

これは、合成ダイヤモンドを用いたジュエリーを合法的な製品であると認めないということではありません。 私たちは、合成品が天然ダイヤモンドのセッティングされたファインジュエリーとは、まったく異なるカテゴリーの製品であると考えています。 誤解をおそれずに言うならば、100万年前に地球の奥深くで形成されたダイヤモンドを、つい先週に工場から生み出されたものと比較すること自体が誤りでしょう。
消費者各位も、このような事実を直感的に悟っています。

合成ダイヤモンドの売り上げが、2月、5月、12月の間に低下を見せることには、それなりの理由が考えられます。 このシーズンには、コストパフォーマンスにすぐれた代替品よりも、婚約指輪のように特別な意味合いを持ったジュエリーが購入されています。 デビアス社CEOブルース・クリーバー氏が、自社の合成ダイヤモンド製品「ライトボックス」について言及しているように、今すぐに楽しめるファッショナブルなすぐれたアイテムである一方、レア度に欠け、それほど高価なものではありません。 大切な記念日を祝し、永遠の愛を象徴するために購入されるダイヤモンドではありません。 このような率直な発言は、一種の新鮮さに満ちています。 このほかの誤解についても見ていきましょう。

天然ダイヤモンドが有する社会経済的な利益

合成ダイヤモンドの製造業者は、環境への配慮をコピーとして謳いがちです。これは不誠意であるばかりでなく、上場しているダイヤモンド鉱山業者とは異なり、前者には情報開示の義務が課されていません。 Trucostによる「大規模ダイヤモンド採掘における社会経済および環境的インパクト」と題された独立系の報告書によれば、実験室由来のダイヤモンド1カラットの製造が、同量の天然ダイヤモンド比で2倍を超える炭素排出量を排出する可能性が示唆されています。 欺瞞に満ちた広告キャンペーンに踊らされた若年消費層は、真実は真逆であるにもかかわらず、カーボンフットポイントがより少なく感じられる合成ダイヤモンドを選択してしまうでしょう。

ダイヤモンド採掘の環境インパクトがより少ないと報告されていることに加え、その影響をさらに軽減し、閉鎖鉱山の再生に向けて多大な尽力が払われていることを忘れるわけにはいきません。 環境的な観点を別にしても、メディアサイドは、天然ダイヤモンドに対する合成ダイヤモンドの倫理性をアピールし続けています。 これには、ダイヤモンドが生産国にもたらす多大な効果が考慮されていません。現実にそぐわない、根本的に誤った路線だといえるでしょう。 天然ダイヤモンドがもたらす社会経済上の莫大な利益は、ダイヤモンド採掘による環境インパクトを上回る、ないしは相殺します。

同じく Trucostの調査によると、2016年に主要なダイヤモンド鉱山業者によって160億ドルにのぼる純利益が創出され、内60%が地域社会に直接的に還元されていることが明らかにされています。 鉱山に従事する労働者は、自国平均の約5倍にあたる賃金を支給され、業者は7万7000人の雇用を創出しています。 世界各国で、ダイヤモンド産業は1000万人の生活を支えています。アフリカならびに南アメリカでは150万、インドでは60万にのぼる技術職人、小規模の炭鉱業者とその家族が存在します。 カナダのノースウェスト準州やシベリアのツンドラ、あるいは南アフリカの砂漠といった、世界でもっとも居住に適さない地域においてダイヤモンドが採掘されていること、このような地域に暮らす人々には雇用の選択肢がほぼ皆無であることを考慮すれば、その意義はより深まるでしょう。 最大のサクセスストーリーは、ボツワナのケースでしょう。

世界銀行によれば、1966年の独立時、ボツワナは世界で最も貧しい国に数えられ、一人当たりの年収はわずか70ドルでした! 1967年、デビアス社によってオラパ鉱山が見出されたことで、ボツワナはまったく異なる新たな歴史を描くことになります。 今日、ボツワナはアフリカ大陸で最もゆたかな国に数えられ、医療や教育が無料で施され、1人あたりの収入は約2万ドルに達しました。 ダイヤモンドは、国の総輸出の88%、国内総生産の20%を占めています。 合成ダイヤモンドの製造に関しては、これに匹敵するようなサクセスストーリーは存在しません。合成ダイヤモンドは、ごく限られた裕福な投資家の最終的な利益にしか還元されていません。

このような事実を考慮すると、購入者のモチベーションが、金銭面、感情的側面、社会的側面のいずれであっても、天然ダイヤモンドの購入こそが変わることのない正しい選択だと言えるでしょう。  BAUNATは、天然ダイヤモンドに託された永続的な価値を信条とし、一切妥協のないアプローチを理念としています。
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Stefaan Mouradian & Steven Boelens